お彼岸が近づくと、「この時期にやってはいけないことがあるらしい」という話が耳に入ってきます。
結婚式、引っ越し、納車、土いじり。
挙げられる項目は多いのですが、どれが本当に避けるべきなのかまでは、なかなか分かりません。
この記事では、避けたほうがよいとされる行動を一つずつ理由から確認します。
そのうえで、土いじりのタブーがお彼岸の話ではないことを、2026年の日付で確かめます。
この記事の信頼性:仏教行事としてのお彼岸の考え方、石材店・仏壇店が公表しているマナー、国立天文台の計算にもとづく春分・秋分の日付をもとに執筆しています。
地域や宗派によって考え方が分かれる部分は、その旨を明記しています。
お彼岸にやってはいけないことは何?
結論からお伝えします。
お彼岸に宗教上の絶対的な禁止事項はなく、避けたほうがよいとされる行動は、周囲への配慮や昔からの言い伝えにもとづくものです。
この7つはいずれも「してはいけない」ではなく「気にする人がいる」という性質のものです。
理由さえ知っておけば、必要以上に予定を動かさずに済みます。
お祝い事や納車が避けられるのはなぜ?
まずは、結婚式や新築祝い、納車といったお祝い事から見ていきます。
これらが避けられるのは縁起の問題ではなく、お彼岸が法要や帰省で予定の埋まりやすい時期だからです。
お彼岸は仏事、結婚式は慶事にあたります。
性質の違う行事を重ねるべきではないと考える家庭もあります。
ただし仏教に、この時期の祝い事を禁じる教えはありません。
忌中や喪中とは根本的に違う期間です。
実際に困るのは、たいてい段取りのほうです。
親族がお墓参りや法要で動くため、参列や手伝いの都合がつきにくくなります。
納車や新築祝いも同じで、日取りが悪いのではなく周囲が動きにくい時期だというだけです。
お宮参りとお見舞いが挙げられる理由
続いて、神事とお見舞いについてです。
お宮参りは神社の行事、お彼岸は仏事にあたるため、性質の違う行事を重ねることを避ける考え方があります。
神様と仏様のどちらも敬う習慣のなかで行事の線引きをしておきたいという配慮であり、禁止されているわけではありません。
お見舞いのほうは、受け取る側の気持ちの問題です。
お彼岸はお墓参りの時期にあたるため、見舞われた側が「墓参りのついでに来られた」と感じることがあるとされています。
相手の状態や関係性によって受け止め方は変わるため、迷うようなら時期をずらすほうが無難でしょう。
彼岸花と水辺遊びには実際の危険がある
言い伝えのなかには、理由が実害に根ざしているものもあります。
彼岸花にはリコリンやガランタミンという毒があり、持ち帰るなという言い伝えには中毒を防ぐ意味があります。
「家に持ち帰ると火事になる」という言い方で伝えられてきましたが、実際に危ないのは毒のほうです。
小さな子どもやペットがいる家庭では、摘んで帰らないほうが確実です。
水辺で遊ぶことが挙げられるのも同じ構造といえます。
お彼岸の時期は春の嵐や台風が接近しやすく、天候が荒れやすい季節にあたるためです。
縁起の話として伝わってきたものの中身が、実は安全上の注意だったという例です。
土いじりのタブーは「土用」との取り違え
ここが、もっとも誤解の多い項目です。
土を動かしてはいけないとされるのは「土用」の期間であって、お彼岸ではありません。
土用とは、立春・立夏・立秋・立冬の前の約18日間を指す言葉です。
この期間は土を司る土公神が支配するとされ、土を動かす作業を避ける習わしがあります。
日程を並べると、重なっていないことがはっきりします。
春も秋も1日として重ならないため、お彼岸に庭仕事やガーデニングを控える理由はありません。
言い伝えの形が似ているために、名前のほうが入れ替わって伝わったと考えられます。
お墓参りそのもので気をつけたいこと
行動のタブーよりも、実際に注意されるのはお墓での振る舞いです。
騒がない、墓石に足をかけない、他家のお墓を無断で撮影しない。
この3つが基本になります。
置きっぱなしのお供え物は動物に荒らされやすく、墓石のシミや変色の原因にもなります。
食べ物とお酒は必ず持ち帰るのが、今のお墓参りの基本です。
服装に迷う場合は、下記の記事で整理しています。
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お供え物として避けたほうがよいもの
お墓と仏壇、どちらにも共通する考え方があります。
肉類や魚類、ニンニク・ネギ・ニラなどの五辛、香りやトゲの強い花は避けるのが基本とされています。
仏壇へのお供えも考え方は同じで、故人が好きだったものであれば基本的に問題ありません。
五辛と肉魚だけ外しておけば、迷う場面はほとんどなくなります。
お彼岸にやったほうがよいこと
避けることばかりではなく、するとよいとされることもあります。
お墓参り、仏壇の掃除、お供え物の用意、彼岸会への参加の4つが基本です。
すべてをやる必要はなく、できるものを一つ選べば供養として十分とされています。
彼岸会に参加する場合のお布施は、3千円から1万円ほどが目安といわれています。
おはぎとぼたもちの違いや食べる日は、こちらで解説しています。
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そもそもお彼岸とはどんな期間?
ここで、期間そのものも確認しておきます。
お彼岸は春分の日・秋分の日を中日として、その前後3日を合わせた合計7日間を指します。
春分・秋分の日付は国立天文台の計算にもとづいて決まるため、年によって前後します。
2026年の秋のお彼岸は、9月19日から23日までの5連休と前半が重なります。
11年ぶりの5連休にあたるため、お墓参りの人出も例年より多くなりそうです。
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お盆・春分の日との違い
混同されやすい行事との違いも整理しておきます。
お彼岸はこちらから会いに行く行事、お盆はご先祖さまを家に迎える行事という違いがあります。
お盆には迎え火や送り火で霊を迎えて送りますが、お彼岸にその作法はありません。
お墓参りに出向くことが中心になります。
春分の日・秋分の日との違いは、期間の長さです。
どちらも1日限りの祝日で、お彼岸はその日を中心とした7日間を指します。
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お彼岸に何もしないのは罰当たり?
最後に、気持ちの部分に触れておきます。
お彼岸に何もしなかったからといって、罰が当たるという教えはありません。
仕事や距離の都合で、お墓に行けない年もあります。
手を合わせる、仏壇の水を替える、故人の話をする。
それだけでも供養として成り立つとされています。
宗派によって前提が違う点も、知っておくと安心です。
浄土真宗ではお彼岸を先祖供養ではなく、教えに向き合う「讃仏会」の期間ととらえます。
形式を守れたかどうかより、思い出す時間を持てたかどうかのほうが大切だとされています。
お彼岸のタブーに関するよくある質問
お彼岸にやってはいけないことは何ですか?
絶対的な禁止事項はありません。結婚式などの祝い事、新築祝い、納車、お宮参り、お見舞い、彼岸花の持ち帰り、水辺遊びが避けたほうがよいとされています。
お彼岸に土いじりをしてもいいですか?
問題ありません。土を動かすことを避けるのは「土用」の期間であり、2026年はお彼岸と1日も重なりません。
お彼岸に引っ越しや納車をしてもよいですか?
問題ないとされています。縁起ではなく、法要や帰省と重なって慌ただしくなるという理由で避けられているだけです。
仏壇にあげてはいけない食べ物はありますか?
肉類・魚類と、ニンニク・ネギ・ニラなどの五辛は避けるのが基本です。それ以外は故人が好きだったもので構いません。
お墓参りでNGな行為は何ですか?
大声で騒ぐこと、墓石に足や腰をかけること、他家のお墓を無断で撮影すること、お供え物を置いたまま帰ることです。
お彼岸の期間はいつですか?
春分の日・秋分の日を中日として、前後3日を合わせた7日間です。2026年は春が3月17日〜23日、秋が9月20日〜26日です。
お彼岸を過ぎてからお墓参りに行ってもよいですか?
構いません。期間中に行けなかった場合は、都合のつく日にお参りすれば問題ないとされています。
お彼岸中に神社にお参りしてもよいですか?
神事と仏事を重ねることを避ける考え方から、控えるという人もいます。禁止されているわけではありません。
お彼岸に彼岸花を庭に植えるのはよくないですか?
庭に自生している彼岸花をそのままにしておくこと自体に問題はありません。毒があるため、小さな子どもやペットが触れない場所かどうかだけ確認しておくと安心です。
お彼岸は毎年同じ日程ですか?
いいえ。春分の日・秋分の日が年によって前後するため、お彼岸の日程も毎年少しずつ変わります。
まとめ
お彼岸に、宗教として禁じられている行動はありません。
挙げられる7つのタブーは、周囲への配慮や昔の言い伝えから生まれたものです。
とくに土いじりについては、お彼岸ではなく土用の話が入れ替わって伝わったもので、2026年の日程を並べても1日として重なりません。
一方で、お墓での振る舞いやお供え物には、今も守られている実務的な理由があります。
騒がないこと、置きっぱなしにしないこと。
この2つを押さえておけば、大きく外れることはありません。
2026年の秋のお彼岸は9月20日から26日で、前半が11年ぶりの5連休と重なります。
人出が増える時期なので、お参りの時間帯には少し余裕を持たせておくと安心です。
地域や家庭によって考え方は異なるため、迷ったときは家族や菩提寺に一度確認しておくとよいでしょう。