朝、カバンにお弁当を入れながら気が重い。
あるいは、子どもが玄関で「行きたくない」と言い出して動かない。
どちらの側にいても、決めなければいけないのは同じことです。
行くのか、休むのか。
遠足がつらいのは、一日中つらいからではありません。
つらい時間は、だいたい決まっています。
この記事では、その時間がどこなのかを先に特定したうえで、休む場合に何を確認すればいいのか、行く場合に何を用意しておけばいいのかを整理しました。
行くべきだとも、休んでいいとも決めつけていません。
どちらを選ぶにしても、判断に必要な材料が足りていないまま家庭内だけで結論を出すのを避けるための内容です。
この記事は実際に相談されている内容と寄せられた回答を確認し、公表されている資料は出典を明記したうえで引用しています。
まずは、遠足の何がつらいのかから見ていきましょう。
遠足に行きたくない理由は「決まっていない時間」にある
理由を掘り下げる前に、つらい場面がどこなのかを特定します。
遠足でしんどいのは、誰と過ごすかが決められていない時間です。
小学6年生の相談に、それがはっきり出ています。
遠足や修学旅行では、お弁当を食べる時間や自由に遊ぶ時間があり、そこは仲のいい相手と過ごす場面になる。
けれど自分にはその相手がいないので、一人になることが多い、というものでした。
高校1年生の相談も、ほとんど同じ内容です。
クラスに深い付き合いの友達がいなくて、浅い関係の子が数人いるだけ。
その子たちはすでにグループができていて、そこに入っていく勇気がない、と書かれていました。
授業中は座席が決まっているので、相手を自分で探す必要がありません。
ところが遠足では、その決めごとが外れます。
教室では見えていなかった人間関係が、遠足では時間割の形で表に出てしまうわけです。
小学生も高校生も同じところでつまずいているというのは、これが年齢や性格の問題ではなく、行事の構造の問題だということを示しています。
遠足に行きたくない理由は年齢で変わる
続いて、年齢による違いを整理します。
ここを取り違えると、対応がかみ合いません。
低学年までは「何が起きるか分からない不安」、高学年以降は「誰といるか」が中心になります。
小さい子の場合、行き先も流れも自分では想像がつきません。
何時にどこへ行って、何をして、いつ帰ってくるのか。
それが分からないまま「明日は遠足だよ」と言われても、楽しみより不安が勝つことがあります。
一方、高学年から高校生になると、行き先そのものより人間関係が理由になります。
実際、高校生の相談では「一人で回るくらいなら休みたい」とはっきり書かれていました。
中学年あたりで出てくる「行っても意味がない」という言い分は、大人の側の価値観が映っている面もあります。
文部科学省の検討会に出された資料では、体験活動よりも勉強を優先させたいと考える保護者が増えつつあると整理されていました。
子どもが「遠足より勉強のほうが大事なのでは」と言うとき、それは家庭や社会の空気を写している可能性があります。
理由を聞くときに、その言葉だけを取り上げて論破しても解決しません。
遠足を休ませるかどうかで意見が割れる
ここが親にとって、いちばん決めにくいところです。
休ませてもいいという考え方は、いまのところ少数派です。
小学1年生の子を持つ母親が「体調不良やトラブルがあるなら学校行事を休ませてもいい」と投稿したところ、父親が「学校行事を休ませるなんてもってのほか」と強く反対して口論になった、という話があります。
寄せられた意見は、父親寄りのほうが多数でした。
行事も授業の一環である、社会性を学ぶ機会である、トラブルから逃げる習慣をつけてほしくない、といったものです。
母親寄りの意見は「学校生活は何年も続くのだから、数回休んでも問題ない」という形で、数としては少なめでした。
一方で、遠足に行かないと自分で決める子が実際にいるという話もあります。
ある学校では、50人中3人が行かないと答えたそうです。
それを見た書き手は「親が変わった」「過保護になった」と書いていました。
つまり、休ませる判断には反対意見がついてくることを、あらかじめ知っておいたほうがいいということです。
どちらが正しいかを決める話ではありません。
ただ、周囲の空気がそうなっている以上、家庭内で意見が割れるのは自然なことだと分かるだけでも、話し合いの温度は下がります。
遠足を休む前に学校へ確認できること
判断材料が足りないまま家庭内で議論しても、答えは出ません。
休んだ場合にどうなるかは、担任に聞けば説明してもらえます。
実際にそうした親子の記録があります。
息子が泣いて嫌がったとき、母親は無理に説得せず「嫌な気持ちを先生に伝えて、どうしたらいいか一緒に考えてもらおう」と提案しました。
そして担任は、まず遠足に行かない場合に学校がどう対応するのかを説明したうえで、子どもに向き合って「行きたくない理由はなんですか」と尋ねたそうです。
この順番が大事です。
先に「行かない場合はこうなる」が分かっていれば、子どもも親も、想像で怖がらずに済みます。
とくに費用の扱いは、子ども自身が気にしていることがあります。
高校生の相談でも、予約が必要な施設なので先生に迷惑をかけたくない、と書かれていました。
子どもが休みたいと言えない理由が、人間関係ではなくお金や手続きのこともあります。
学校ごとに扱いは違うので、ここで断定はできません。
だからこそ、聞いてみる価値があります。
遠足を休むと伝えるときの言い方
休むと決めた場合、次は伝え方です。
「友達がいないから」という理由は、学校側が対応に困ることがあります。
高校生の相談に寄せられた回答でも、この点が指摘されていました。
先生の立場では、その理由を聞いた以上は人間関係に手を入れる必要が出てきます。
結果として話が大きくなり、本人がいちばん避けたかった状況になりかねません。
かといって、体調不良と嘘をつくことを勧めたいわけでもありません。
当日の朝に急に休めば、学校側も準備を組み直すことになります。
いちばん角が立たないのは、休むという結論を先に出さず、相談として持ちかける形です。
学校側にも調整できることがあり、それを聞いてから決めても遅くありません。
親から伝えるほうが、子ども本人が言うより負担が軽くなる場面もあります。
言い方を選ぶのは、嘘をつくためではなく、話を必要以上に大きくしないためです。
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遠足に行くと決めたときの当日の身の置き方
行くほうを選んだ場合の話もしておきます。
不安なのは一日全部ではなく、弁当と自由行動の時間だけです。
先に見たとおり、しんどい場面は限られています。
逆に言えば、そこだけ手を打てば残りの時間は流れていきます。
移動中も、見学中も、基本的には全員が同じ方向を向いているからです。
高校生の相談に寄せられた回答が具体的でした。
遠足までに浅い関係の子ともう少し話しておく、他のクラスの子と絡む、一か所に固定せず何人かのところを行き来する、といったものです。
ここで引っかかるのが、遠慮です。
小学6年生の相談では、声をかけたら「その子がかわいそう」だから動けない、と書かれていました。
自分が入ることで相手に迷惑をかけると思ってしまう。
けれど、誘われて困る人はそう多くありません。
動けなくしているのは相手の都合ではなく、こちらの想像のほうです。
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遠足に行きたくないと言われた親ができること
親の側の対応にも触れておきます。
理由を問い詰めるより、行かない場合の見通しを先に見せるほうが話が進みます。
「なんで行きたくないの」と聞かれても、子どもは言葉にできないことがあります。
とくに不安が強いタイプの子は、何が起きるか分からない状況そのものを避けようとするため、理由を説明できないまま「行かない」の一点張りになることがあります。
そういうときに効くとされているのが、見通しを具体的にすることです。
準備のほうに時間をかけると当日が楽になる、という考え方です。
行くか行かないかの二択にしないだけでも、子どもが答えやすくなります。
そして、行かせるかどうかを親だけで抱え込む必要もありません。
運動会や授業参観など、他の学校行事で同じ問題にぶつかったときの考え方もまとめています。
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親子遠足に行きたくないときはどうするか
最後に、親自身が行きたくない場合です。
親子遠足を休む家庭は実際にあり、卒園の年だけ参加するという形も取られています。
幼稚園の親子遠足について、下の子が歩き回るようになったこと、仲のいい保護者がそれほどいないことを理由に、休んで子どもと出かけてもいいかという相談がありました。
寄せられた回答には、途中から夫が合流した例や、下の子を連れて参加した例、そして卒園の年だけ参加して他は休んだという例もありました。
回答の中に「小学生になったら親子遠足はないですもんね」という一言がありました。
期間が限られているという見方は、参加する方向にも、休む方向にも使えます。
あと何回あるのかを数えてみると、判断の基準が変わることがあります。
学校行事に参加する親の負担については、授業参観の場合も同じ構造があります。
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遠足に行きたくないときのよくある質問
遠足に行きたくない理由として多いのは何ですか?
年齢で分かれます。幼稚園から小学校低学年は見通しが立たないことへの不安、中学年あたりは疲れることや行く意味が分からないこと、高学年から高校生では一緒に過ごす相手がいないことが中心になります。
遠足を休んでもいいですか?
家庭で判断できることですが、休ませることに否定的な意見が多いのも事実です。決める前に、欠席の扱いや費用がどうなるかを担任に確認しておくと、判断材料が増えます。
遠足を休むとどう扱われますか?
学校によって異なるため断定はできません。当日は学校で過ごせるのか、費用は返ってくるのかを含めて、担任に聞けば説明してもらえます。実際に、行かない場合の対応を先に説明したうえで子どもの理由を尋ねた先生の例があります。
「友達がいないから休みたい」と正直に言ってもいいですか?
その理由を伝えると、学校側が人間関係に手を入れることになり、本人が避けたかった状況になる場合があります。理由を細かく言わずに相談として持ちかけ、調整できることがないか聞くほうが現実的です。
当日の朝に急に休むのはよくないですか?
学校側が準備を組み直すことになるため、できるだけ早く伝えるほうが負担は小さくなります。予約が必要な施設に行く場合はとくにそうです。
一人になりそうで不安です。どうすればいいですか?
不安になるのは弁当と自由行動の時間に集中しています。遠足の前に話したことがある子と一度会話しておく、弁当のときに一言だけ用意しておく、自由行動は一か所に固定せず動く、といった対処があります。
子どもが理由を言わずに「行かない」と言い張ります。
不安が強いと、何が起きるか分からない状況そのものを避けようとするため、理由を説明できないことがあります。行き先を一緒に調べる、当日の流れを書き出す、午前だけ参加するといった選択肢を出すと答えやすくなります。
親子遠足は行かないとだめですか?
休む家庭は実際にあります。卒園の年だけ参加して他は休むという形もありますし、夫婦のどちらかが行く、途中から合流するという方法もあります。子ども本人が来てほしいと思っているかを先に確認するのが判断の起点になります。
まとめ
遠足に行きたくないという気持ちは、行事そのものを嫌っているわけではないことがほとんどでした。
しんどいのは弁当の時間と自由行動、つまり誰と過ごすかが決められていない時間です。
小学6年生と高校1年生が同じ理由でつまずいているという事実は、これが性格の問題ではなく、行事の構造の問題であることを示しています。
そのうえで、休むかどうかの判断には反対意見がついてきます。
行事も授業の一環だ、逃げ癖がつく、という声のほうが実際には多い。
だからこそ家庭内で意見が割れるのは自然なことで、そこで結論を急ぐと話がこじれます。
足りていないのは覚悟ではなく、情報のほうです。
欠席がどう扱われるのか、費用はどうなるのか、途中参加はできるのか、班の組み方を調整してもらえるのか。
これらは担任に聞けば説明してもらえます。
行かない場合の見通しを先に立ててから理由を尋ねた先生の例があるように、学校は聞かれれば答えられる立場にいます。
そして行くと決めた場合も、身構えるべきは一日全部ではありません。
弁当と自由行動の二か所だけです。
誘ったら相手に悪いという遠慮が動きを止めていることが多いのですが、誘われて困る人は、思っているほど多くありません。