身内を亡くした年の秋、年末が近づくと気になってくるのが喪中はがきです。
宛名を書いて、印刷を頼んで、11月中に届ける。
気持ちの整理もつかないうちに、その準備まで重なると、今年は出さずに済ませたいと思うのも無理はありません。
一方で、出さなかったら非常識だと思われないか、亡くなった人に申し訳ないのではないかと、ためらう気持ちも出てきますよね。
実際には、身内の不幸を経験した人の4割近くが喪中はがきを出していません。
出さないことそのものより、出さないときに何を補っておくかのほうが大切です。
出すことを勧める記事でも、出さないことを勧める記事でもありません。
決めるための材料と、出さないと決めたときの伝え方をまとめています。
この記事は日本郵便の案内と、実施主体・時期・回答数を公表している調査をもとに書いています。
まずは、実際にどれくらいの人が出していないのかから見ていきましょう。
喪中はがきを出さない人は4割近くいる
最初に、周りの人が実際にどうしているのかを数字で確かめておきます。
身内の不幸を経験した200人に聞いた2025年の調査では、喪中はがきを出さなかった人が38.5%でした。
これは、はがき印刷を手がけるフタバ株式会社が2025年9月にインターネットで行った調査です。
身内が亡くなり、喪中はがきを出すかどうかを実際に決めた200人のうち、出した人は61.5%、出さなかった人は38.5%でした。
出した人の側でも、65%が「面倒だと感じた」と答えています。
出すか出さないかは、すでにほぼ半々に分かれつつあります。
注目したいのは、出さない理由の中身です。
年賀状をほとんどやり取りしていない人にとって、年賀状を控えることを知らせる喪中はがきは、そもそも出す相手が少ないものです。
親しい人とはLINEで連絡を取っているなら、はがきを出さなくても事情は伝わります。
出さない人が増えているのは、薄情になったからではなく、年賀状を送り合う付き合いそのものが減ってきたからだと考えられます。
喪中はがきを出さないことは失礼にあたらない
続いて、いちばん気になる「失礼かどうか」を見ていきます。
喪中はがきは、出さなければならない決まりがあるものではありません。
日本郵便の案内では、喪中はがきは正式には年賀欠礼状と呼ばれ、訃報を知らせるためのものではなく、おめでたい新年のあいさつを控えることを伝えるはがきだと説明されています。
つまり役割は「今年は年賀状を出しません、送っていただくのもお気遣いなく」という連絡です。
出さなかったからといって、亡くなった人をないがしろにしたことにはなりません。
受け取る側の受け止め方も、数字に表れています。
同じ会社が2024年11月に、喪中はがきを受け取った経験のある200人に聞いた調査では、受け取ったあとに「特に何もしない」人が68%でした。
自分が出す側だったら相手に何をしてほしいかという問いでも、77.5%が「特に何もしなくてよい」と答えています。
喪中はがきは、届いた相手に何かを求めるものとしては受け取られていません。
もちろん、喪中はがきを大切な習わしと考える人もいます。
2024年8月の同社の調査では、喪中はがきを「必要」と答えた人が62%でした。
ただ、必要と考える人がいることと、出さなかった人を失礼だと責めることは別の話です。
喪中はがきの役割が年賀状のやり取りを控える連絡である以上、出さないときに気にすべきなのは礼儀の問題より、連絡が届かないことで起きる行き違いのほうです。
喪中はがきを出さないと困る2つの場面
失礼にあたらないとしても、出さないことで起きることは知っておいたほうが安心です。
出さないときに困るのは、相手が年賀状を送ってしまうことと、訃報がまったく届かない人が出ることの2つです。
1つ目は、喪中だと知らない相手から、いつもどおり年賀状が届くことです。
前述の2024年11月の調査でも、喪中と知らずに年賀状を送ってしまった経験がある人はおよそ半数いました。
送った側は後から知って気まずい思いをしますし、こちらも返事をどうするか考えることになります。
2つ目は、家族葬が増えたことによる変化です。
2024年8月の調査では、喪中はがきで知人の訃報を知った経験がある人のうち、54%が家族葬の広がりで「喪中はがきで訃報を知る機会が増えた」と感じていました。
葬儀に呼ばなかった故人の友人や昔の同僚にとって、喪中はがきが亡くなったことを知る唯一の手段になっている場合があります。
裏を返せば、この2つさえ別の方法で補えれば、はがきにこだわる必要はありません。
とくに気をつけたいのは、故人と長く付き合いのあった人です。
自分とは年賀状をやり取りしていなくても、故人とはやり取りがあった人は、年が明けて故人宛ての年賀状を送ってくることがあります。
出さないと決めるなら、故人の年賀状の束や住所録を一度見ておくと、誰に別の方法で伝えればよいかが見えてきます。
喪中はがきを出さなくてよい相手と出しておきたい相手
ここからは、相手ごとにどう考えればよいかを整理します。
全員に出すか、誰にも出さないかの二択で考えなくても大丈夫です。
日本郵便の案内でも、身内への喪中はがきは不要とされています。
喪中はがきを出す目安は、亡くなったのが2親等までの親族の場合です。
1親等は父母・配偶者・子、2親等は祖父母・兄弟姉妹・孫にあたります。
同居していない祖父母など2親等の場合は、家族で相談して出すかどうかを決める考え方もあります。
送る相手は、ふだん年賀状をやり取りしている人、葬儀に参列してくれた人、故人と交流のあった人が基本です。
反対に、別の方法で伝えにくい相手には、はがきを出しておくほうが行き違いを防げます。
たとえば、住所しか分からない故人の旧友、毎年年賀状だけでつながっている遠方の知人、目上の方などです。
会社名義の年賀状については、会社には喪中の考え方がないため、仕事の関係先には通常どおり年賀状を出すという扱いが一般的です。
全員に出すのが負担なら、「別の方法では伝えられない相手だけに出す」と絞るのも1つの方法です。
喪中はがきを出さないときの伝え方
はがきを出さないと決めたら、次に考えたいのが代わりの伝え方です。
親しい相手なら、口頭や電話、メールやLINEで伝えても問題ありません。
喪中はがきの役割は、年賀状を控えることを知らせることでした。
その役割を果たせれば、手段ははがきでなくてもかまいません。
2025年の調査でも、出さない理由として「親しい人とはLINEで連絡を取っているから」という声が挙がっています。
会ったときや電話のついでに「今年は母が亡くなったので、年賀状は控えます」と一言添えるだけでも十分です。
口頭で伝える場合は、「誰に伝えたか」を家族で共有しておくことが大切です。
夫は自分の親戚や同僚に口で伝えると言うけれど、それで本当に足りるのか。
そんな迷いを抱える人は少なくありません。
はがきにはない弱点は、伝えたつもりで伝え漏れが出ることです。
夫側と妻側で誰に伝えるかを分け、年末までに伝え終えたかを確認しておけば、口頭でも行き違いは防げます。
喪中はがきを出さずに寒中見舞いにする方法
はがきで伝えたいけれど11月には準備が間に合わない、という場合に使えるのが寒中見舞いです。
寒中見舞いは、松の内が明ける1月8日から立春の2月4日ごろまでに届くように送ります。
日本郵便の案内では、喪中はがきが12月上旬までに間に合わない場合や、12月に亡くなった場合は、年が明けてから寒中見舞いで伝える方法が紹介されています。
松の内の明けは地域によって1月16日からとする場合もあり、立春を過ぎると余寒見舞いになります。
喪中はがきを出さなかった相手から年賀状が届いたときも、寒中見舞いで返すのが一般的です。
寒中見舞いにすれば、年末の忙しい時期に準備を急がなくて済みます。
年賀状が届いた相手にだけ返すことにすれば、出す枚数も最小限になります。
気持ちが落ち着く年明けに、届いた年賀状を見ながら一枚ずつ書けるのは、喪中はがきにはない良さです。
おめでとうという言葉は使わず、落ち着いた色合いのはがきを選べば、それだけで事情は伝わります。
喪中はがきを出さない自分は変なのかと迷ったとき
最後に、出さないと決めたあとも残りやすい「変に思われないか」という気持ちについて考えます。
迷いの多くは、喪中はがきの役割と、自分が伝えたいことが混ざっているところから生まれます。
たとえば、身内を亡くした同じ年に子どもが生まれ、年始に近況を知らせたいという相談があります。
喪に服すべきだという声と、知らせたい気持ちとの間で揺れる悩みです。
喪中はがきに出産などの近況を書き添えるのは控えるのが一般的とされていますが、喪中はがきを出さずに、年が明けてから寒中見舞いで「元気に過ごしています」と伝える形なら、どちらの気持ちも守れます。
大切なのは形式をそろえることより、伝えるべき人に伝わっていることです。
行事のやり方を見直すとき、何もしないことへの後ろめたさは誰にでも出てきます。
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喪中はがきを出さないことに関するよくある質問
喪中はがきを出さないのは失礼ですか?
失礼にはあたりません。喪中はがきは年始のあいさつを控えることを伝える年賀欠礼状で、出さなければならない決まりはありません。
喪中はがきを出さない人はどれくらいいますか?
2025年9月のフタバ株式会社の調査では、身内の不幸を経験した200人のうち38.5%が出していませんでした。
喪中はがきはなぜ出さない人がいるのですか?
年賀状のやり取りが少ない、親しい人とはLINEで連絡が取れる、費用がかかる、といった理由が挙がっています。
喪中であることを口頭で伝えてもいいですか?
問題ありません。ただし伝え漏れが起きやすいため、誰に伝えたかを家族で共有しておくと安心です。
喪中をメールやLINEで伝えてもいいですか?
ふだんからメールやLINEで連絡を取り合っている相手なら、その方法で伝えてもかまいません。
親戚には喪中はがきを出さなくていいですか?
葬儀などで事情を知っている身内には、出さないのが一般的です。日本郵便の案内でも身内への送付は不要とされています。
喪中はがきを出さなかった相手から年賀状が届いたらどうすればいいですか?
松の内が明けた1月8日から立春の2月4日ごろまでに、寒中見舞いでお礼と喪中だったことを伝えます。
喪中はがきの準備が間に合わないときはどうすればいいですか?
12月上旬までに届けられない場合は、年が明けてから寒中見舞いで伝える方法があります。
まとめ
喪中はがきを出さないことは失礼ではなく、身内の不幸を経験した人の4割近くがすでにそう決めています。
喪中はがきは、年始のあいさつを控えることを伝えるための連絡です。
受け取る側の多くは何も求めておらず、出さなかったことで責められる理由はありません。
気にかけておきたいのは礼儀より、いつもどおり年賀状が届いてしまうことと、家族葬で知らせていない人に亡くなったことが伝わらないことの2点です。
その2つは、はがきでなくても補えます。
親しい人には会ったときやLINEで一言伝え、住所しか分からない相手や故人の旧友にだけはがきを出す。
準備が間に合わなければ、年が明けてから寒中見舞いで返す。
全員に同じ形で出すか、誰にも出さないかの二択ではなく、相手ごとに伝え方を選べば、気持ちの負担はずっと軽くなります。
11月に入ると、年賀状の準備を始める人が増えていきます。
出さないと決めたなら、それより前に、誰にどう伝えるかだけ決めておくと安心です。