毎年この時期になると、誰に何を贈るかを考えて、手配して、金額を確かめる。
始めたときは自然だったのに、いつの間にか義務のようになっている。
そろそろやめたいけれど、こちらから切り出すのは角が立つ気がしますよね。
ところが数字を見ると、やめたいと思っている側のほうがすでに多数派でした。
しかも相手が自分からやめてくれる見込みは、かなり低いことも分かっています。
この記事では、まず現状の数字を押さえたうえで、失礼にならないタイミングと、段階を踏んだ引き際の作り方までを並べました。
やめることを勧める記事でも、続けることを勧める記事でもありません。
判断するための材料と、実際の手順を並べる内容です。
この記事の調査データは公表されている原典を確認し、実施主体・時期・回答数を明記したうえで引用しています。
まずは、いまどのくらいの人が続けているのかから見ていきましょう。
毎年欠かさず贈っている人は5人に1人
やめてよいかを考える前に、周りの実態を知っておくと判断が楽になります。
「お歳暮は毎年欠かさず贈っている」と答えた人は、2024年時点で19.0%でした。
博報堂生活総研が1992年から隔年で続けている定点調査による数字です。
同じ質問を繰り返し聞いているので、変化がそのまま見えます。
初回は6割を超えていた計算になります。
30年で、6割の習慣が2割になったということです。
つまり、やめたいと思っている人は例外ではありません。
すでにやめた側のほうが多数派で、5人のうち4人はそこにいます。
この前提を持っておくだけで、切り出すときの気の重さがかなり変わります。
相手が続けたがるのは世代の違いによるところが大きい
続いて、なぜ自分の周りだけ続いているように見えるのかを考えます。
同じ調査を年代別に見ると、60代は38.6%なのに対し、20代は2.6%でした。
差は15倍近くあります。
男女差はほとんどなく、女性が男性より3ポイントほど高い程度です。
つまり、いまお歳暮を支えているのは上の世代です。
贈る相手が親戚の年長者や会社の上司であれば、相手の側にはまだ「あって当たり前」の感覚が残っている可能性が高いことになります。
ここを取り違えると、話がこじれます。
相手が受け取りたがっているのは、こちらを試しているからではなく、育ってきた時期の常識が違うからです。
そう考えると、伝え方も変わってきます。
相手が先にやめてくれる見込みは低い
「そのうち向こうも面倒になるだろう」と待っている人は多いのですが、ここには数字があります。
お歳暮を贈る習慣がある人のうち、今後も贈り続けたいと考えている人は93%でした。
株式会社ファンくるが2024年12月18日から30日にかけて、全国の登録ユーザーから抽出した1,010名(男性235名・女性775名)に実施したインターネット調査です。
やめている人が多数派である一方、まだ続けている少数の人は、ほとんどがやめる気がないという構図です。
だとすれば、待っていても状況は動きません。
やめると決めたなら、自分から動くしかないという結論になります。
裏を返せば、こちらが動かないかぎり、この時期の負担は毎年そのまま続くということでもあります。
やめても失礼にならない4つのタイミング
では、いつ切り出すか。
区切りとして自然に受け取られやすい時期があります。
関係が変わった年か、続けて3年たった年が目安とされています。
古くからの慣習として、仲人へのお歳暮は3年ほどを目処にするという考え方があります。
この「3年」は、他の相手に対しても一つの区切りとして使われています。
このうち3つ目と4つ目は、理由をそのまま伝えられるので特に切り出しやすくなります。
「事情が変わったので」と言えるかどうかが、相手の納得のしやすさを左右します。
伝える時期そのものは、贈る前の11月下旬から12月初旬か、相手から届いたときのお礼のタイミングです。
年が明けてから伝えると、相手はすでに翌年の準備を始めていることがあります。
3段階に分けると角が立ちにくい
ここからが実際の手順です。
多くの案内が同じ形を勧めています。
一度でやめるのではなく、3年ほどかけて段階を下げていく方法が広く紹介されています。
急にゼロにすると、相手は理由を探します。
ところが少しずつ変えていけば、相手の側にも心構えができるので、最後の年に「今年から」と伝えても驚かれません。
金額を段階的に下げる方法では、5,000円から3,000円、さらに2,000円と落としていく形も紹介されています。
これは相手に変化を気づいてもらうための工程で、けちっているわけではありません。
もちろん3年待てない事情もあります。
その場合は段階を飛ばして構いません。
ただし飛ばしたぶんだけ、伝える言葉を丁寧にする必要が出てきます。
手順と言葉は、どちらかを厚くすれば片方は軽くできる関係にあります。
同じ段階の踏み方は、親戚とのお年玉をやめるときにも使えます。
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お年玉をやめたいときは?やめ時の実態と揉めない切り出し方
お年玉をやめたいときの進め方を整理しました。実際にいつまであげている人が多いのか、誰からどう切り出せば揉めないか、避けたほうがいい理由の言い方までを解説します。
お中元とお歳暮なら、先にやめるのはお中元
どちらか一方だけ残す場合、順番には理由があります。
お中元だけを贈ってお歳暮を贈らない形はよくないとされているため、削るならお中元が先になります。
お歳暮は1年の締めくくりに感謝を伝えるもので、お中元より重く扱われてきました。
そのため、お歳暮を残してお中元をやめる順番が自然になります。
暑中見舞いを1年だけ挟むのがコツです。
品物が挨拶状に変わっただけという形にしておくと、やり取り自体は続いているように見えます。
お中元とお歳暮の位置づけの違いについては、
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お中元とお歳暮の違いは?時期と意味を解説
お中元とお歳暮の違いを解説。それぞれの時期・意味・由来から、どちらか一方だけ贈る場合の考え方まで整理しました。
で詳しく整理しています。
先に贈っている側は、黙ってやめられない
見落とされがちですが、ここは立場で対応が変わります。
毎年こちらから先に贈っている場合、何も言わずにやめると、相手は「届いていないのでは」と気を揉むことになります。
10年以上親族へ贈り続けてきた人が、経済的な事情でやめると決めたときに悩んだのがまさにここでした。
自分のほうが先に送っているので、急に送らなくなるより事前に知らせたい、という理由です。
先に贈っている側が黙ってやめると、相手は郵便事故を疑ったり、こちらの体調を心配したりします。
やめること自体より、理由が分からない空白のほうが相手を落ち着かなくさせます。
なお、相手が義実家で、実家同士のやり取りが絡んでいる場合は、誰が伝えるかの決め方が変わります。
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義実家のお歳暮をやめたい?実家同士のやり取りと伝える役の決め方
義実家のお歳暮をやめたい人へ。自分が贈る分と実家同士の贈り合いを分けて整理し、誰が誰に伝えるか、やめようと言われた側の受け取り方、やめたあとに残す形までを解説します。
なお、区切りの挨拶を先に出す方法は、年賀状で使われている形と同じです。
「本年をもちまして失礼させていただきます」と一度伝えておけば、翌年からは何も届かなくても意味が通ります。
相手別の伝え方と、文面の組み立て
伝える手段は、相手との距離で選びます。
目上の相手や会社関係には挨拶状、親戚や友人には電話が向いています。
文面はどの相手でも組み立てが同じです。
感謝を先に置き、事情を短く添え、今後の付き合いは続けたいと結ぶ。
この順番を崩さなければ、多少言葉が硬くても失礼になりません。
理由を並べると言い訳に見えます。
一つに絞ったほうが、かえって受け入れられます。
言い方の工夫もあります。
「やめさせていただきます」より「見直させていただきたく」のほうが柔らかく届きます。
同じ内容でも、断ち切る言葉と整理する言葉では、受け取る側の印象が変わります。
避けたいのは、相手の贈り物への不満を理由にすることと、相手にも同時にやめるよう促すことです。
こちらがやめることと、相手にやめてもらうことは、別の話として扱ってください。
送られてくるお歳暮を断りたいとき
贈るのをやめても、相手から届き続けることがあります。
お礼状に辞退の一文を添えるのが、最も角の立たない方法です。
勤務先の規則で受け取れない場合や、こちらだけがもらう形になってしまう場合は、はっきり伝えたほうがお互いに楽になります。
受け取り拒否の印を押して送り返すのは、マナーの面で問題があるとされています。
中身を確認せずに突き返す形になるためです。
返送するなら、必ず理由を書いた手紙を添えます。
1回目はお礼状に添えるだけにして、それでも翌年届いた場合に次の手を考える。
段階を踏むのは、贈る側をやめるときと同じです。
やめたあとに何を残すか
最後に、やめたあとの話です。
ここを決めておくと迷いが減ります。
品物をやめても、年に一度の挨拶を残しておけば、関係は途切れません。
お歳暮の役割は品物そのものではなく、年に一度こちらから気にかけていると示すことにあります。
その機能だけなら、挨拶状で置き換えられます。
3つ目と4つ目は、時期が固定されないぶん負担が読めます。
毎年12月に必ず作業が発生する形から抜けられるのが、いちばん大きい変化です。
行事そのものを縮める考え方については、
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お盆に何もしないのは失礼?3人に1人が何もしない実態
お盆に何もしないのは失礼なのか解説。実際に何もしない人の割合、そもそも迎え火をしない宗派、確認しておきたいことまで整理して不安を解消します。
でも別の角度から扱っています。
年末年始にもう一つ毎年発生するのがお年玉です。
こちらの負担の実際は下記で扱っています。
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お年玉をあげたくないと感じるのはおかしいのかを、負担を感じている人の割合や平均人数の実際から整理しました。あげない場合の見られ方、全部やめずに線を引く方法まで解説します。
付き合いを減らしていくと、年末年始そのものが静かになります。
その過ごし方については下記にまとめています。
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年末年始を一人で過ごすことになったときの整理です。一人で過ごす人の割合、この時期だけ寂しくなる理由、開いている場所や食事を先に決めておく方法を解説します。
お歳暮をやめたいときのよくある質問
お歳暮をやめるのは失礼ですか?
失礼にはあたりません。毎年欠かさず贈っている人は2024年時点で19.0%で、1994年から42.8ポイント下がっています。すでにやめた側のほうが多数派です。
お歳暮はいつやめるのがいいですか?
3年以上続けたあと、疎遠になったとき、高齢になったとき、転職や引っ越しで関係が変わったときが区切りとされています。伝える時期は贈る前の11月下旬から12月初旬が目安です。
相手からやめてくれるのを待ってもいいですか?
贈る習慣がある人のうち93%が今後も続けたいと答えているため、待っていても動かない可能性が高くなります。やめると決めたなら自分から伝えるほうが早く済みます。
お中元とお歳暮のどちらをやめるべきですか?
お中元だけ贈ってお歳暮を贈らない形はよくないとされているので、削るならお中元が先です。やめた年は暑中見舞いを出して間を埋めると自然になります。
やめるときは何と伝えればいいですか?
感謝を先に置き、理由を一つだけ短く添え、今後も付き合いは続けたいと結んでください。「やめます」より「見直させていただきたく」のほうが柔らかく届きます。
急にやめても大丈夫ですか?
段階を踏まずにやめることはできますが、そのぶん伝える言葉を丁寧にする必要があります。特に自分から先に贈っている場合は、必ず事前に知らせてください。
送られてくるお歳暮を断るにはどうすればいいですか?
お礼状に「今後はお気遣いなさいませんよう」と添えるのが基本です。受け取り拒否の印を押して返すのはマナーの面で問題があるとされています。
やめたあと、付き合いはどうなりますか?
年賀状や年末の挨拶状に切り替えれば、年に一度気にかけているという形は残ります。時期の決まっていない手土産に変える方法もあります。
まとめ
お歳暮をやめたいと思うのは、特別なことではありませんでした。
毎年欠かさず贈っている人は2024年時点で19.0%まで下がっていて、初回の調査から42.8ポイント落ちています。
30年で6割から2割になった習慣なので、やめたい側にいるほうが多数派です。
一方で、いま続けている人の93%は今後も贈り続けるつもりでいます。
しかも年代差は大きく、60代の38.6%に対して20代は2.6%でした。
相手が受け取りたがるのは試されているからではなく、育ってきた時期の常識が違うからで、待っていても向こうからは動きません。
だから手順のほうを整えます。
お中元を先にやめて暑中見舞いに変え、翌年は金額を下げ、その次の年に挨拶状だけにする。
3年待てないなら段階を飛ばして構いませんが、そのぶん言葉を丁寧にする。
感謝を先に置き、理由は一つだけ、今後も付き合いたいと結ぶ。
そして自分から先に贈っている場合だけは、黙ってやめないでください。
相手を落ち着かなくさせるのは、品物が届かないことではなく、理由が分からない空白のほうです。
一言先に伝えておけば、12月に必ず作業が発生する形から、来年には抜けられます。