日曜劇場『VIVANT』を見ていて、医師・柚木薫(二階堂ふみさん)が出てくる場面になると気持ちが途切れる、という感想を持った人は少なくありません。
検索窓に「VIVANT 薫」と入れると「いらない」「うざい」「嫌い」が続けて出てくるほどです。
ただ、この言葉が使われた場面をひとつずつ並べていくと、単に嫌われているというより、視聴者が薫という人物をどう読むべきか迷っていたことのあらわれに見えてきます。
この記事は第1シーズンと第2シーズン第17話までの放送内容、TBS公式サイトのあらすじ、報道されたインタビューをもとに整理しています。
未放送部分については考察として扱い、確定した情報とは分けて書いています。
第2シーズンの流れを追いながら読みたい人は、第1シーズンから最新話までまとめて確認できます。
まずは、なぜ「いらない」という言葉が出てきたのかから見ていきましょう。
VIVANTの薫が「いらない」と言われる理由
この言葉が向けられていたのは薫という人物そのものではなく、薫が登場する場面がドラマの緊張感を切ってしまうと感じられたことでした。
『VIVANT』は別班・公安・テロ組織テントが入り乱れる情報戦のドラマです。
息を詰めて見ている途中に、医療や子どもとのやり取り、乃木憂助(堺雅人さん)との距離が近づく描写が入ると、そこで一度気持ちが緩む。
この落差を「いらない」と表現した人が多かったわけです。
実際、2023年9月には「あの女医と子供との絡みはいらないと感じませんか」という問いかけがありました。
質問者自身が、緩急をつけるためには必要なのかもしれないと自問しており、拒絶というより戸惑いに近い書き方をしています。
つまり「いらない」は、薫の演技や人物像への批判というより、ドラマのジャンルに対する期待とのずれから出てきた言葉でした。
では、具体的にどの場面がそう言われたのでしょうか。
VIVANTの薫が足手まといと言われた場面
「いらない」と一緒によく挙げられるのが「足手まとい」という言葉です。
指摘されている場面は第1シーズンの序盤に集中しており、そのほとんどが乃木たちの逃走に関わるものでした。
並べてみると、いずれも「乃木たちの目的を遅らせた」という点で共通しています。
逃走という一本道の中で、薫だけが別の理由で動いていたわけです。
ただし、この5つは見方を変えると、すべて医師としての行動原理から説明がつきます。
目の前の患者を優先する、任務のために患者を置き去りにしない、正規の手続きを踏む。
バルカ共和国で医療に従事してきた人物として一貫しており、乃木たちの論理と噛み合わなかっただけとも読めます。
婚約の嘘についても、薫は第3話で乃木に問い詰められた際に「ああでも言わないと野崎さんを説得できなかった」と説明しています。
アディエルとその娘ジャミーンとの関係については「恋愛感情とは違うけど、一緒にいて幸せだったのは嘘じゃない」とも述べており、嘘の目的が保身ではなかったことは作中で示されていました。
この「嘘をついた」という一点が、次の見方につながっていきます。
VIVANTの薫が怪しいと読まれていた理由
「いらない」と同じ時期に、まったく逆方向の見方も広がっていました。
薫の不自然さは物語の伏線であり、いずれ正体が明かされるという読み方です。
とくに強い指摘として挙がっていたのが、薫が軍服姿で銃を持った写真の存在でした。
先ほどの問いかけに返ってきた答えは、この写真と、ジャミーンの名前が第1話でベキとノコルが紹介される場面ですでに出ていたことを挙げて、薫と子どもの描写は尺埋めではなく仕掛けだと反論しています。
同じ描写を見ながら、片方は「いらない」と受け取り、もう片方は「これは後で効いてくる」と受け取っていた。
この分かれ方こそが、薫というキャラクターの置かれ方をよく表しています。
薫を含めた人物と組織の関係をまとめて確認したい場合は、下記の記事で組織別に整理しています。
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VIVANT続編のキャスト相関図2026|登場人物を組織別に整理
VIVANT続編のキャスト相関図を、丸菱商事・公安・別班・テントの4つの組織で整理しました。公式で公開された25人と演じる俳優に加え、第20話で別班員4人が救出され、ジャミーンがプリシャとつながったことまで毎週追記しています。
VIVANTの柚木薫の正体は?
ここで、検索でよく並ぶ「正体」についても触れておきます。
柚木薫は世界医療機構(WHI)に所属する日本人医師で、第1シーズンの終盤までに別班やテントの一員だったという設定は明かされていません。
軍服姿の写真をめぐる考察は視聴者側から出たもので、公式に回収されたわけではない点は分けて考える必要があります。
第1シーズンでの薫は、バルカ共和国で医療活動にあたる中で乃木と出会い、テントをめぐる一連の事件に巻き込まれていった人物として描かれました。
最終的には乃木の帰る場所のような立ち位置に落ち着いています。
ここに、note などで指摘されてきたもう一つの違和感が重なります。
乃木が任務として人の命を奪っていることを薫は知らないまま、穏やかな関係が築かれていく。
この構図を受け入れられないという声で、こちらは「いらない」とは別種の、物語の倫理に関する引っかかりです。
つまり薫への評価は、序盤は「足手まとい」、中盤は「怪しい」、終盤は「知らないままでいいのか」と、話数が進むごとに論点そのものが移り変わってきました。
ひとつの言葉で語られてきたわけではありません。
VIVANTのアディエルと薫の関係
続いて、正体と並んで質問が多いアディエルとの関係を整理します。
アディエルはバルカ共和国でジャミーンの父として登場した人物で、薫が語っていた婚約は事実ではありませんでした。
嘘の目的は野崎を説得するためで、アディエルとジャミーンへの気持ち自体を否定したわけではないと薫は説明しています。
恋愛感情とは違うが一緒にいて幸せだったのは本当だ、という言い方でした。
ここを踏まえると、薫にとってのアディエル親子は恋愛の相手というより、バルカで暮らした年月そのものだったと考えられます。
ジャミーンの治療にこだわって出発を遅らせた判断も、その延長線上にあると見ると筋が通ります。
足手まといと言われた行動と、婚約の嘘は、同じ場所に根を持っているわけです。
第18話では、アディエルがノコルと一緒にベキから教育を受けていたことが明かされました。テントの中心にいたベキのもとで育った人物だったことになります。
アディエルがなぜテントの活動から離れ、ジャミーンと暮らしていたのかは、第18話でも語られていません。
ジャミーンをめぐる背景については、下記の記事でも触れています。
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VIVANTのジャミーン役変更はなぜ?前任者の今と年齢の逆転
VIVANTのジャミーン役は、前作のナンディン-エルデネ・ホンゴルズラさんから本間さえさんに変わりました。TBSは理由を発表していません。前任者の今と、新任者のほうが年下という年齢の逆転、ほかの配役変更もまとめています。
二階堂ふみさんは薫をどう捉えていたか
視聴者の受け取り方をひととおり見てきたところで、演じた本人の言葉を挙げておきます。
二階堂ふみさんは2023年8月のインタビューで、薫というキャラクターの「危うさ」について語り、「良くも悪くも人間らしい」と表現していました。
国防に関わる立場と、人としての普遍的な感情との間で揺れること、人への信頼感が物語の中で少しずつ変化していくことを見どころとして挙げています。
つまり、視聴者が「怪しい」「読めない」と感じた部分は、演じる側が意図して置いていたものでした。
行動の一貫性のなさに見えたものは、揺れている人物としての設計だったことになります。
この発言は放送当時に報じられていたものですが、いま出回っている記事ではほとんど引かれていません。
場面の指摘に集中していて、演者側の説明まで届いていないためです。
同じ場面でも、意図があると分かってから見返すと印象は変わります。
第1シーズンの薫の表情を確認しながら見返したい場合は、配信でさかのぼるのが早い方法です。
VIVANTの第2シーズンで薫はどう扱われているか
最後に、いま放送中の第2シーズンでの扱いを確認します。
ここが「いらない」という見方が今も当てはまるかどうかの分かれ目になります。
TBS公式サイトのあらすじで薫の名前が出てくるのは第11話だけですが、第17話では本編にしっかり登場しました。
第12話からは、別班拉致、シンシー、野崎の潜入、そして乃木と同じ顔の男という筋が続き、公式のあらすじは一貫してそちらを追っています。
第11話のあらすじで薫の名前が出たのは、乃木がノゴーン・ベキに銃を向けた日と並べる形で、薫とジャミーンに再会した日が振り返られたためでした。
そのベキが続編でどう扱われるのかは、下記の記事でまとめています。
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VIVANT続編に役所広司は出る?ベキ生存説とキャスト非公開の理由
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つまり薫は、あらすじで扱われないまま本編には出ている、という位置に置かれていました。
物語を動かす役ではないけれど、乃木が帰る場所として画面には残っている。
医療や育児の描写がテンポを切ると感じた人にとって、その置き方はむしろ前作より受け入れやすいかもしれません。
第2シーズンで中心になっている別班拉致の流れは、下記の記事で整理しています。
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VIVANTの別班拉致の真相は?黒須たち5人と野崎の暗号を考察
VIVANTの別班拉致の真相を考察とあわせて整理しました。黒須たち5人がなぜ捕まったのか、野崎の暗号とリュウとの関係、奪還断念から奪還作戦、第20話でシャキ城から4人を救い出し和田が帰らなかった場面までを順を追って解説します。
【第17話】薫が乃木にキスをした場面
2026年9月6日に放送された第17話で、薫はひさしぶりに本編に登場しました。
薫がジャミーンと出かけようとしてドアの前で振り返り、乃木にかがむよう促してキスをする場面が描かれています。
視聴者からは、第1シーズン第7話の初めてのキスと比べて関係の変化が見えるという反応が出ました。
あのときは乃木が「ごめん、初めてで」と泣き出し、薫が後ろから抱きしめる形でした。
同じ2人の同じ行為でも、どちらが主導しているかが逆になっています。
「いらない」と言われた疑似家族のような描写は、第2シーズンでも続いていたことになります。
ただし前作と違うのは、それが本筋の合間に短く置かれている点です。
別班の任務が緊迫していく中で、乃木が守ろうとしているものを一場面で見せる作りになっていました。
その別班のほうでは、連れ去られた黒須たち5人の奪還が第17話の中心になっていました。
そちらの経緯は下記の記事で書いています。
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VIVANT黒須は死亡した?正体と失踪の真相を解説
VIVANTの黒須駿は死亡したのか。第11話で姿を消してからの経緯と、第20話でシャキ城から救出された場面、実家の家族が狙われた動き、拉致された別班員5人のこと、黒須の正体と演じる松坂桃李さんまでを放送内容と報道をもとに整理します。
一方で、第1シーズンで回収されなかった軍服姿の写真をめぐる論点は、そのまま残っています。
第17話の予告に一瞬だけ映った人物が薫ではないかという考察も出ていました。
あくまで視聴者側の推測ではありますが、薫の過去に触れる展開があれば、「いらない」と言われた序盤の描写がまとめて意味を持つことになります。
第18話で前半戦が完結したいま、後半戦で薫の扱いがどう変わるかは注目したいところです。
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VIVANTのテントの巨大な謎とは?シンシーと孤児院説を整理
VIVANTのテントに隠された巨大な謎とは何なのか。シンシーの狙いや孤児院説、方舟モチーフとの関係を整理し、第17話で現役の組織として動き、第18話で乃木に協力し、第19話でシャキ城へ向かうテントの今を、順に詳しく追います。
第19話の予告では、乃木の自宅とみられる場所で、眠っている薫が何者かに口を押さえられる場面が映りました。
その場面が誘拐につながるのか、薫とジャミーンがなぜ狙われうるのかは、下記の記事で考えています。
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VIVANTの予告で薫が口を押さえられた場面を考察します。薫誘拐の黒幕は長野専務なのか、根拠と合わない点を並べ、第12話から続く警護やジャミーンが狙われる理由、薫自身が狙われる可能性、第19話を終えて引き続き確かめたい点まで整理します。
VIVANTの薫に関するよくある質問
VIVANTの薫の正体は?
世界医療機構(WHI)に所属する日本人医師です。別班やテントの一員だったという設定は、第1シーズンの時点では明かされていません。
VIVANTの柚木薫は結局なぜ怪しいと言われたのですか?
赤飯を食べたときの表情、VIVANTの綴りを正確に書けたこと、バルカ赴任がテント始動と同じ3年前だったこと、そして軍服姿で銃を持った写真の存在が根拠として挙げられていました。いずれも視聴者側の指摘です。
アディエルと薫の関係は?
薫は当初「もうすぐ結婚するはずだった」と語っていましたが、第3話でその婚約は嘘だったと認めています。野崎を説得するためだったと説明しており、アディエルとジャミーンと過ごした時間そのものは否定していません。
薫がラクダから落ちた場面はなぜ批判されたのですか?
砂漠の逃走中という緊迫した状況で一行の足を止めたためです。ただし助けに向かう場面は撮影の裏側としても紹介されており、演出上意図して置かれた見せ場でもありました。
VIVANTはひどいと言われることがあるのはなぜですか?
情報戦のドラマとして見ていた人にとって、医療や育児、恋愛の描写がテンポを切ると受け取られたことが理由のひとつです。物語の焦点が国家の話から個人の復讐に寄っていったという指摘もあります。評価が割れる作りになっている、というのが実際のところです。
薫は第2シーズンに出ていますか?
出ています。TBS公式のあらすじで名前が挙がるのは第11話のみですが、第17話では乃木と暮らす日常の場面で登場し、乃木にキスをする場面が描かれました。
二階堂ふみさんは薫についてどう語っていましたか?
「危うさ」を持つ人物として捉えており、「良くも悪くも人間らしい」と表現していました。人への信頼感が揺らいでいく変化を見どころとして挙げています。
第11話で薫は何をしていましたか?
公式あらすじでは、乃木がノゴーン・ベキに銃を向けた日と並べる形で、薫とジャミーンに再会して二人を抱きしめた日が振り返られています。
薫と黒須はどう関わりますか?
第1シーズンでは直接的な関わりはほとんど描かれていません。
まとめ
薫に向けられた「いらない」という言葉を場面ごとにたどっていくと、批判の中身が一定でなかったことが見えてきます。
序盤は逃走を遅らせる行動への苛立ちで、中盤は嘘と不自然さから来る警戒で、終盤は乃木の実像を知らないまま結ばれる構図への引っかかりでした。
同じ言葉が三度、別の意味で使われていたわけです。
そして演じた二階堂ふみさん自身が、薫を「危うさ」を抱えた人物として捉えていたと語っています。
読みにくさは欠点ではなく設計だったことになり、そう分かってから見返すと、足手まといに見えた判断も医師としての一貫性に見えてきます。
第2シーズンでは、公式のあらすじに薫の名前が出るのは第11話だけです。
作品は「いらない」と言われた要素を中心から外し、別班とシンシーの筋に集中しています。
それは薫を切り捨てたということではなく、第1シーズンで薫が担っていた役割がすでに終わっているという意味かもしれません。
だとすれば、次に薫が画面に戻ってくるときは、乃木が何を守ろうとしているのかが問われる場面になるはずです。