年末が近づくと、ポチ袋の数を数えながら気が重くなる。
自分の子の分ではなく、親戚の子の分が積み上がっていく。
やめたいとは思うものの、どう言えばいいのか分からないまま、また今年も新札を用意している。
やめられない理由は金額ではなく、切り出し方が分からないことのほうです。
言い方ひとつで、通ることもあれば角が立つこともあります。
この記事では、実際にみんながいつまで続けているのかを数字で確かめたうえで、誰から、いつ、どんな理由で切り出せば揉めにくいのかを整理しました。
やめてしまえと背中を押す記事でも、続けるべきだと諭す記事でもありません。
同じ「やめたい」でも、切り出す順番とタイミングを変えるだけで相手の受け取り方が変わるため、そこを設計できるようにする内容です。
この記事の調査データは公表されている原典を確認し、実施主体・時期・回答数を明記したうえで引用しています。
まずは、みんながいつまで続けているのかから見ていきましょう。
お年玉をやめる時期は、思っているより遅い
やめ時を考える前に、実際の区切りがどこにあるのかを押さえておきます。
最後にお年玉をあげる年齢として最も多いのは、大学・短期大学・専門学校生などで62%でした。
みんなの銀行とiBankマーケティングが共同運営するマネーインサイトラボが、2025年1月9日から20日にかけて4,397名に実施した調査による数字です。
高校生の28.7%と合わせると約9割になります。
高校卒業が区切りだという説明はよく見かけますが、実際にいちばん多いのは大学や専門学校を出るまででした。
成人年齢が18歳に引き下げられたことを根拠に高校卒業を節目とする考え方はありますが、実態はそこで止まっていません。
つまり、相手が高校を卒業しても、周りは終わっていない可能性が高いということです。
自分だけ先に区切ると浮いてしまうのではないかという不安には、根拠があります。
お年玉のやめ時が自然に来ない理由
続いて、なぜここまで長引くのかを見ていきます。
同じ調査では、あげ始める年齢は未就学児が73.3%で最も多い結果でした。
小学1年生から3年生の24.4%と合わせると、約9割が小学校低学年までに渡し始めています。
始まりは早く、終わりは遅い。
この2つを並べると、一人あたりの期間が見えてきます。
未就学児で始めて大学を出るまで続けた場合、一人につき18年から20年です。
しかも金額は年齢とともに上がっていきます。
同じ調査では、未就学児や小学校低学年は1,000円から3,000円未満、小学校高学年は3,000円から5,000円未満、中学生と高校生は5,000円から1万円未満、大学生以上は1万円から3万円未満が最も多い層でした。
年数が長いうえに単価も上がるので、きょうだいが増えるほど総額は加速します。
子どもが3人だった頃に9,000円だった支出が、人数が増えて21,000円になったという話も実際にあります。
この構造には、終わりを告げる仕組みがどこにもありません。
卒業しても誰かが宣言しなければ続きますし、相手が大人になっても「もう少し」が積み重なります。
やめ時が来ないのではなく、自分で区切りを作らないと来ない仕組みになっているということです。
お年玉の負担がどこから来ているのか
やめる相談を誰にすればいいのかは、渡している相手を数えると見えてきます。
お年玉をあげた相手として最も多いのは親戚の子どもで、約7割にのぼりました。
自分の子どもは4割弱で、これを上回っています。
つまり負担の中心にいるのは自分の子ではなく、兄弟姉妹や配偶者の兄弟の子どもです。
だからこそ、やめる話は自分の家庭内では完結せず、親戚との交渉になります。
もうひとつ見落とされがちな数字があります。
自分または配偶者の親・祖父母にあげたという人が16.6%いて、これは自分の孫にあげた人より多いという結果でした。
義理の祖父母へのお年玉を減らしたいが夫が反対している、といった悩みは珍しいものではなく、16.6%という規模で実在しています。
負担を感じているのが自分だけではないと分かるだけでも、話を切り出すハードルは下がります。
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お年玉をやめたいとき、どちらから言うかで結果が変わる
ここからが実際の切り出し方です。
まず決めるべきは、自分から言っていい立場かどうかです。
同じ「やめよう」でも、人数が多い側から言うと角が立ちます。
子どもが5人いる家庭と2人の家庭でやりとりをしていて、2人側から「やめたい」と申し出たという話があります。
5人側は納得できないと感じたのですが、周囲の反応は逆でした。
人数差がある時点で負担は釣り合っておらず、もらう額が多い側から先にやめようと言うべきだったという意見が大多数を占めたのです。
この感覚は、いわゆる「お互い様」という言葉に表れています。
双方に同じくらいの人数の子がいれば、やりとりは実質的に相殺されています。
その状態でやめても損得は変わらないので、話は通りやすい。
逆に、片方が受け取るばかりの状態でその側からやめようと言えば、相手には理由が見えません。
自分が受け取る側で人数も多いなら、やめようと言うのではなく、金額の上限を提案するほうが受け入れられます。
立場を確かめてから言葉を選ぶと、同じ内容でも相手の反応が変わります。
お年玉をやめる理由に家計を出すと拒まれることがある
立場の次に効いてくるのが、どんな理由を添えるかです。
家計が厳しいという理由は、相手にも同じ事情があると通りません。
義理の姉の子7人にお年玉を配っていた人が、家計が厳しいと伝えてやめたいと申し出たところ、強く拒まれたという話があります。
返ってきたのは「うちのほうが経済的に厳しく、お年玉が家計の支えになっている」という言葉でした。
お金を理由にすると、お金の事情を比べる話になってしまいます。
そのうえ、家計を理由にすると「では余裕ができたら再開するのか」という含みが残ります。
来年また同じ話を持ち出すことになりかねません。
その点、年齢の節目を理由にすると、相手の事情を否定せずに済みます。
高校卒業まで、義務教育の間まで、というように子ども側の区切りに合わせる形なら、誰かの都合ではなく決まりごとの話になります。
「うちは高校卒業までと決めているので」という言い方であれば、相手が反論する余地もありません。
避けたほうがいいのは、相手の子を引き合いに出すことと、金額の多寡に触れることです。
やめる理由は自分の側の決めごととして完結させるほうが、余計な波風が立ちません。
お年玉をやめると伝えるタイミング
理由が決まったら、次はいつ言うかです。
ここを間違えると理由が伝わりません。
年末に伝えるのが、いちばんこじれやすいタイミングです。
長年もらってきた相手から、年末が近づいてからメールで一方的に「今回からやめる」と告げられ、納得できなかったという話があります。
しかも自分の第一子が生まれた直後でした。
金銭的な負担は気にしていない、見返りも求めていないと本人がはっきり書いているのに、それでもモヤモヤが残っている。
問題は金額ではなく、相談ではなく通告だったことと、時期が急だったことでした。
もう一点、相手側に子どもが生まれた直後や、相手の家庭に大きな変化があった直後も避けたほうが無難です。
やめる理由と無関係でも、タイミングが重なると理由がそこにあると読まれます。
早めに伝えておくことは、贈り物のやめ方全般で共通する基本でもあります。
渡す直前ではなく、余裕をもって大人同士で共有しておくと、相手も予定を立て直せます。
お年玉をやめる話を切り出しにくいときの伝え方
とはいえ、直接言いにくい相手もいます。
間に人を挟むという方法があります。
兄の子に両親経由でお年玉を渡し続けていた人が、やめたいと相談したところ、直接兄夫婦に言うと角が立つので、両親に「今年からはやめるわ」と伝えてはどうかという助言が寄せられていました。
もともと親を経由して渡していたなら、やめる連絡も同じ経路を使うほうが自然です。
理由を聞かれたときの答え方も具体的でした。
「毎年あげてきたけれど、あまり喜ばれていないんじゃないかと思って」という形です。
相手を責めず、自分が引くという構図になっています。
なお、渡す相手が配偶者側の親族で、配偶者が反対している場合は、話す相手が変わります。
親族に切り出す前に、まず夫婦で決着させる必要があります。
黙って減らすとあとで揉めるので、渡したい側が自分の裁量で出す形にするなど、家庭内の落としどころを先に作っておくほうが安全です。
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お年玉をいきなりやめずに減らしていく方法
全部やめるのが難しければ、段階を踏むという手もあります。
一度に廃止せず、金額と範囲を少しずつ絞っていくやり方です。
贈り物をやめるときにも同じ型が使われます。
金額を下げる、頻度を落とす、それから終わりにする、という順番を踏むと、相手にとっては急な変化になりません。
お年玉の場合は、下げられる軸が3つあります。
複数の子がいる家庭同士では、一人あたりの額ではなく家ごとの合計をそろえるという調整もあります。
人数差があっても総額が釣り合うので、不公平感が出にくくなります。
そして、下げるときも先に伝えておくのが要点です。
渡す場でいきなり額が減っていると、相手は理由を推測するしかなくなります。
変化そのものより、説明がないことのほうが関係を悪くします。
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お年玉をやめると言われた側になったとき
反対の立場になることもあります。
ここを知っておくと、自分が切り出すときの参考になります。
やめると言われた側が引っかかるのは、金額ではなく伝えられ方です。
やめると告げられてモヤモヤしたという人は、事前に相談があれば納得できたかもしれないと書いていました。
もらえなくなること自体より、決まったことを一方的に知らされたことのほうが大きかったわけです。
一方で、やめると言われた理由がこちら側にあったというケースもあります。
もらったお年玉にお礼をしなかったために、翌年からやめると言われた、という話です。
この件では、寄せられた意見の多くが受け取った側に厳しいものでした。
もらったらお礼を言うのが先だ、という指摘です。
お年玉をやめる話が拗れるかどうかは、それまでのやりとりが積み上がった結果でもあります。
毎年お礼もなく受け取られてきた側は、やめる決断が早くなります。
逆に、きちんとお礼が返ってくる関係なら、やめる話も相談として通りやすくなります。
なお、廃止したからといって子どもが傷つくとは限りません。
親族間で話し合ってお年玉を廃止していた家で育ち、くれるのは祖母だけだったが不満に思わなかったという証言もあります。
子どものためにやめられないという気持ちは、必ずしも実態と合っていません。
お年玉をやめたあとに起きること
最後に、やめた先で何が起きるかも見ておきます。
関係が薄くなることは、実際にあります。
長年あげてきたのをやめた人が、後日入院した際に兄夫婦や姪に助けを頼んだところ、お祝いもくれなかったのにこういう時は頼るのかと陰で言われていたという話があります。
お年玉とは関係ないつもりでいても、相手の側では同じ帳簿に載っていたわけです。
だからやめるなと言いたいわけではありません。
やめること自体より、やめ方によって印象が決まるということです。
理由を伝えず、感謝も示さず、年末に急に止めれば、相手には「切られた」としか映りません。
現金のやりとりだけをやめて、気持ちのやりとりは続ける。
この形にしておけば、やめたことが関係の終わりとして受け取られにくくなります。
年末年始の付き合い全体を軽くしたい場合は、他の場面も併せて見直すと効果があります。
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お年玉をやめたいときのよくある質問
お年玉をやめたいと伝えるにはどうすればいいですか?
年末を避けて、正月が終わった直後か年度の変わり目に伝えます。理由は家計ではなく「高校卒業までと決めた」といった年齢の節目にすると、相手の事情を否定せずに済みます。直接言いにくければ、これまで渡していた経路(親経由など)を使って伝える方法もあります。
お年玉は何歳まであげればいいですか?
4,397名への調査では、最後にあげる年齢は大学・短期大学・専門学校生などが62%で最も多く、高校生の28.7%と合わせて約9割でした。高校卒業を節目とする考え方もありますが、実際には大学卒業まで続ける人のほうが多数派です。
自分だけやめると浮いてしまいませんか?
高校卒業で区切ると、周りがまだ続けている可能性は高いといえます。気になる場合は、廃止ではなく金額の上限を先に提案する形にすると、足並みを大きく崩さずに負担を下げられます。
相手の子が多くて負担が大きいのですが、こちらから言っていいですか?
渡す人数が多い側からの申し出は受け入れられやすい立場です。人数差があるまま続けると負担が偏り続けるため、額の上限をそろえる、家ごとの合計を同じにするといった提案から入ると話が進みやすくなります。
お年玉をやめる理由に「家計が厳しい」と言うのはどうですか?
相手にも同じ事情があると通りません。実際に、家計を理由に申し出たところ「うちのほうが厳しい」と拒まれた例があります。また、余裕ができたら再開するのかという含みも残ります。年齢の節目を理由にするほうが確実です。
夫(妻)が反対している場合はどうすればいいですか?
親族に切り出す前に夫婦で決着させます。黙って減らすとあとで揉めるので、渡したい側が自分の裁量で出す形にするなど、家庭内の落としどころを先に作っておくほうが安全です。
いきなり全部やめるのが不安です。
金額を下げる、対象を絞る、品物に変える、という3つの軸で段階的に減らせます。下げるときも渡す場でいきなり変えるのではなく、先に伝えておくことが要点です。説明がないほうが関係を悪くします。
お年玉をやめると子どもががっかりしませんか?
親族間で話し合って廃止した家で育ち、くれるのは祖母だけだったが不満に思わなかったという証言があります。現金のやりとりをやめても、会ったときに声をかけたり節目のお祝いを残したりする形は残せます。
まとめ
お年玉をやめられないのは、意志が弱いからでも金額が惜しいからでもありません。
未就学児のうちに始まって大学を出るまで続く仕組みには、終わりを告げる機能がどこにもないからです。
最後にあげる年齢が大学・専門学校生までという人が62%を占めるという数字は、待っていても区切りは来ないということを示しています。
一人あたり18年から20年、しかも金額は年齢とともに上がっていきます。
だから、自分で区切りを作るしかありません。
そのときに効くのが、金額ではなく順番でした。
人数が多い側から言えば角が立ち、もらう一方だった側から言えば理由が見えない。
お互いに同じくらいの人数がいて実質相殺されているなら、やめる話はすんなり通ります。
自分がどちらの立場にいるかを先に確かめると、言葉の選び方が決まります。
理由は家計ではなく年齢の節目に置く。
時期は年末を外して正月明けか年度替わりにする。
言いにくければこれまでの経路を使って伝える。
この3つを守るだけで、同じ内容でも受け取られ方がまったく変わります。
そして、やめると言われた側が引っかかるのは金額ではなく伝えられ方だったという事実は、そのまま自分への注意書きになります。
相談として持ちかけられていれば納得できた、と多くの人が書いています。
現金のやりとりだけをやめて、気持ちのやりとりは残す。
そこまで設計できていれば、お年玉をやめることが関係の終わりになることはありません。