七五三の話が出るたびに、祖父母を呼ぶかどうかで気が重くなる。
声をかければ日程調整も食事会の手配も増えるし、当日は子どもより周りに気を遣うことになる。
かといって呼ばなければ角が立つかもしれない。
ところが、実際にもめている家の話をたどると、原因は呼ばなかったこと自体ではありませんでした。
同じ「家族だけでやります」でも、すんなり通る家と大ごとになる家に分かれています。
この記事では、その分かれ目がどこにあるのかを先に押さえたうえで、呼ばない場合と呼ぶ場合それぞれで決めておくことを並べました。
呼ぶべきだとも、呼ばなくていいとも決めつけない内容です。
判断は家ごとに違って構いません。
この記事の調査データは公表されている原典を確認し、実施主体・時期・回答数を明記したうえで引用しています。
まずは、そもそも呼ばない家がどのくらいあるのかから見ていきましょう。
七五三に祖父母を呼ばない家は珍しくない
判断の前に、選択肢の全体像を確認しておきます。
七五三に祖父母を呼ばなければならないという決まりはなく、実際には呼び方が4通りに分かれています。
昔は親族が集まるのが通例でしたが、いまは家庭ごとに形が違います。
どれかが正解でどれかが非常識、という並びではありません。
4つ目は見落とされがちですが、実際に選ばれています。
当日に全員をそろえなくても、写真ができたころに顔を見せに行けば、会う機会そのものは残ります。
つまり「呼ぶか、呼ばないか」の二択ではありません。
ここが分かると、選択肢はかなり広がります。
なお、七五三をやるかどうかから迷っている場合は、実施率や中間の選び方を
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にまとめています。
もめるのは「相談」ではなく「報告」にしたとき
ここからが本題です。
実際にこじれた家の話には、共通点があります。
もめている家は、呼ばないと決めてから伝えていました。もめていない家は、決める前に相談しています。
たとえば、5歳の七五三を家族3人でやりたいと考えた家庭があります。
3歳のときは両家を呼んで祈祷と食事会をしていて、今回は共働きで休みが合わないという事情がありました。
実家側は「家族で決めたことなら」と受け入れたのに、夫の母親だけが「蚊帳の外にされた」と強く反発しています。
この相談に寄せられた答えのなかで最も支持されたのは、「先に相談すべきだった。
決まったあとの報告だったから、無視されたと受け取られた」というものでした。
内容は同じでも、聞かれた側の受け取り方は変わります。
相談の形にしておけば、たとえ結論が同じでも「自分は数に入っていた」という事実が残るからです。
前に呼んでいると、次も呼ぶ前提になる
続いて、もう1つの分かれ目です。
これは意外と見落とされます。
前回の行事で祖父母を呼んでいると、次も呼ぶものとして待たれています。
先ほどの家庭は、3歳の七五三で両家を呼んでいました。
別の家庭では、お宮参りと1歳の誕生日で両家を呼んだあと、七五三は家族だけにしようと決めています。
どちらも「前回は呼んだのに今回は呼ばない」という形で、そこがきっかけになっていました。
後者の相談には、100件を超える意見が寄せられています。
そして目立ったのは、相談した本人に厳しい指摘のほうでした。
一方で、うまく切り替えた例もあります。
1人目のときは両家を呼び、2人目からは家族だけにしたという家庭です。
前例を変えること自体は問題になっていません。
前例があるなら、変える回だけは前もって話しておく。
これが2つ目の分かれ目です。
1回目から家族だけでやってきた家は、そもそもこの問題が起きません。
実家と義実家で反応が割れるのはなぜか
ここも多くの家で共通しています。
同じことを伝えても、自分の親はすんなり受け入れ、配偶者の親だけが反発する、というずれが繰り返し起きています。
理由は単純で、伝わり方が違うからです。
自分の親には遠慮のない言い方ができますし、親のほうも実の子どもの言い分としてそのまま受け取ります。
ところが配偶者の親に対しては、同じ内容が「嫁が決めた」「婿が決めた」という形で届いてしまいます。
こじれた相談に共通して出ていた答えが、まさにここでした。
「配偶者の親への対応は、その実子が引き受けるべき」という指摘です。
別の相談では、伝えることも断ることもしなかった夫について、「責められるべきは夫ひとり」という声が並んでいました。
そもそも、義実家に気を遣うこと自体が多くの人の負担になっています。
全国の20〜60代の既婚男女500人への調査では、義実家で困ることの最多が「気を遣うこと」で、女性では48.2%が挙げていました。
積水ハウス 住生活研究所が2023年10月27日から30日にかけて実施した調査による数字です。
つまり、気を遣う相手に、気を遣う話を、自分で伝えようとしているところに無理があります。
夫の親には夫から、妻の親には妻から。
それだけで角の立ち方はかなり変わります。
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で詳しく扱っています。
祖父母にとって行事は数少ない接点になっている
反対側の事情も見ておきます。
ここが分かると、反応の大きさに納得がいきます。
祖父母世代は孫にかける金額を増やしている一方で、直接会う以外の連絡は減っています。
55歳から87歳で孫がいる女性259名への調査では、孫のための年間支出が平均で約18万円でした。
2023年の調査より3.7万円増えていて、年20万円以上を使う人の割合も18.8%から24.3%に上がっています。
ハルメク 生きかた上手研究所が2025年3月18日から21日にかけて実施したWEBアンケートです。
お金は前より使っているのに、日常的な連絡は減っている。
そうなると、会える機会が行事に集中します。
七五三やお宮参りが「数少ないチャンス」になっていれば、そこを外されたときの反応が大きくなるのは自然です。
ここに出口があります。
行事以外の接点を先に作っておけば、行事1回に集まっていた期待が分散します。
月に一度写真を送る、ビデオ通話をつなぐ、別の日に顔を見せに行く。
呼ばない選択をしやすくするのは、断り方の工夫よりも、普段の接点のほうです。
祖父母を呼ぶと当日はどう変わるか
呼ぶ側の話も、良い面と負担の両方を見ておきます。
人が増えると記録は豊かになりますが、その日の主導権は分散します。
呼ぶ利点としてよく挙がるのは、三世代そろった写真が残ること、にぎやかにお祝いできること、七五三を経験している祖父母に相談できることです。
孫が唯一なら、祖父母にとって特別な一日にもなります。
一方で、当事者からはこんな話も出ています。
お宮参りに義両親を呼んだところ、撮影後に「赤ちゃんに触るなんて」「フラッシュが多すぎる」と電話で指摘され、それが実母にも伝わってこじれた。
写真選びのときも意見に配慮する必要が出て、負担になったという内容です。
同じ「三世代写真が残る」という一日でも、そこに至るまでの決定権が誰にあるかで負担はまったく違います。
呼ぶと決めた場合は、写真選びと当日の進行だけは自分たちが持つと先に決めておくと、後から揉めにくくなります。
同席する人数が増えると撮影の進み方も変わります。写真で後悔しないための備えは下記にまとめました。
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片方だけ呼ぶという選び方
両家か、どちらも呼ばないか。
その中間もあります。
距離や体調を理由に、片方の祖父母だけを呼ぶ形は実際に選ばれています。
遠方に住んでいる、高齢で長時間の外出が難しい、参加を辞退している。
こうした事情があれば、片方だけになるのは自然な流れです。
1つ目が肝心です。
あとから知る側になると、それだけで疎外感が生まれます。
順番を逆にするだけで受け取り方が変わります。
なお、住宅資金のような大きな援助を受けている場合は、判断が変わります。
相応の援助を受けながら行事から外すことについては、周囲の受け取り方が厳しくなる傾向があるので、無理に押し通さないほうが結果的に消耗しません。
お祝いをもらったときのお返し
呼ぶ・呼ばないにかかわらず、お祝いが届くことがあります。
お祝いをいただいた場合のお返しは、金額の3分の1から半額が目安とされています。
ただし、食事会に招いている場合は、その席がお返しの代わりになるという考え方が一般的です。
二重に用意する必要はありません。
呼ばなかった場合ほど、写真を添えたお返しが効きます。
当日に立ち会えなかった側にとって、その一式が唯一の記録になるからです。
祖父母を呼ぶ場合に先に決めておくこと
呼ぶと決めたなら、当日までに片づけておくことがあります。
日程と食事会は、他の準備より先に押さえます。
七五三の時期は写真スタジオも神社も混み合います。
食事会の予約は1か月前から2週間前が目安で、個室のある店だと子どもが疲れたときに動きやすくなります。
服装は見落とされやすい部分です。
主役は子どもなので、祖父母が親より格上の装いになるのは避けます。
両家で片方だけが正装だと写真で浮くので、事前にどの程度かをそろえておきます。
前撮りにすると、当日は参拝と食事だけになります。
子どもの体力にも、祖父母の体力にも余裕が生まれるので、人数が多い年ほど前撮りが効きます。
七五三と祖父母に関するよくある質問
七五三に祖父母は呼ぶべきですか?
呼ばなければならないという決まりはありません。両家を呼ぶ、片方だけ呼ぶ、どちらも呼ばない、当日は親子だけで後日会う、といった形がいずれも選ばれています。
祖父母を呼ばないのは非常識ですか?
非常識ではありません。ただし、もめている家の多くは呼ばなかったこと自体ではなく、決めてから報告した順序で引っかかっています。決める前に相談の形で話すと通りやすくなります。
片方の祖父母だけ呼んでもいいですか?
距離や体調を理由に片方だけ呼ぶ形は実際にあります。呼ばない側には呼ぶ側より先に伝え、写真は両家に同じタイミングで送ってください。
呼ばないときは誰が伝えればいいですか?
それぞれが自分の親に伝えるのが基本です。配偶者の親には同じ内容でも「嫁が決めた」「婿が決めた」という形で届いてしまうため、実子から話すほうが角が立ちません。
前回の行事で呼んでいる場合はどうすればいいですか?
前回呼んでいると次も呼ぶ前提で待たれています。形を変えること自体は問題になっていないので、変える回だけは早めに相談してください。
お祝いをもらったらお返しは必要ですか?
食事会に招いている場合は、その席がお返しの代わりになるとされています。呼ばずにお祝いだけいただいた場合は、3分の1から半額を目安に、写真を添えて返すのが一般的です。
祖父母の服装にマナーはありますか?
主役は子どもなので、子どもや両親より格上の装いは避けます。両家で格をそろえておくと、写真で片方だけ浮くことがなくなります。
食事会の費用は誰が払うのですか?
両親が負担するのが一般的とされています。祖父母からお祝いをいただいている場合も、当日の食事代は招いた側が持つ形が基本です。
まとめ
七五三に祖父母を呼ぶかどうかに、決まりはありませんでした。
両家を呼ぶ家も、片方だけの家も、親子だけでお参りする家もあります。
それでも実際にもめている家があるのは、呼ばなかったからではなく、決めてから報告したことと、配偶者の親に実子以外が伝えたことの2つが重なったときでした。
もう1つ効いていたのが前例です。
お宮参りや3歳の七五三で呼んでいれば、次も呼ばれると思って待たれています。
形を変えること自体は通っているので、変える回だけ早めに相談すれば足ります。
そして反対側には、孫のための支出が年間平均18万円まで増えている一方で、直接会う以外の連絡は減っている、という事情がありました。
行事が数少ない接点になっているから、そこを外されたときの反応が大きくなります。
だとすれば、いちばん効くのは断り方の工夫ではありません。
写真を送る、ビデオ通話をつなぐ、別の日に顔を見せる。
行事以外の接点を先に作っておくことが、呼ばない選択をいちばん楽にしてくれます。
当日の主役は子どもで、その日をどう過ごすかを決める権利は親の側にあります。